「オメガ スピードマスターPRO」impression強化防水検査編

今までの防水検査器は10気圧までしか計る事が出来ませんでしたが、35気圧まで計測可能な防水検査器を入手いたしました。
ボディー素材は鉄で作られていて重量も5キロ位?あると思います。


この検査器を使って
スピードマスターの防水機能の“限界”を調べたいと思います。
この防水検査器は加圧した後にケースを取り出して漏水があるか調ます。



加圧中は中の様子を見ることができないためムーブメントは取り出しておきます。
ケースのみになったところで実験スタートです!



検査器にセットする内側のケースに時計を入れます。



本体に水を入れます。



本体に時計と水を入れた状態です。


シッカリと蓋を閉めます。


蓋を閉めていくと余分な水が横の穴から排出されてきます。


排出用のバルブをシッカリと閉めて後は加圧するだけです。


メーターの横に付いているバルブを閉めると加圧されていきます。
メータのメモリが5を指していますので5気圧の圧力がかかっている状態です。


10気圧の圧力をかけました。
此処までは前回の防水実験で問題有りませんでしたのでさらに圧力をかけていきます。


15気圧です。
中の様子がどうなっているか見ることは出来ませんが問題なさそうなのでさらに圧力をかけます。


メーターが20気圧を指す少し手前でした・・・突然バキーンと音が鳴り検査器のメーターが勢い良く戻っていきます。


急いで蓋を空けて確認しなければ!!!


時計を確認してビックリです!!なんと風防の中央に大きな亀裂が出来ています
バキーン~と鳴った音は風防の割れる音だったようです。


水分を拭き取り再度確認してみるとハッキリと割れているのが確認できます。
スピードマスターの防水はここまでか・・・チョット待って下さい!!
割れてしまった風防は今まで色々な実験に耐えてきて何度も磨かれている風防です。
新品ならもっと頑張れるはず!!


早速、風防を新品に交換して再度検証します。


検査器に時計を入れて排水用のバルブを閉め準備完了です。


15気圧まで一気に圧力をかけました。
今回は15気圧で数分放置して減圧して時計の状態を確認してみます。


ケース内部を確認しましたが漏水は有りません。
15気圧クリアです。


もう一度検査器に入れ加圧、最初の風防が破壊されてしまった辺りに到達しました
此処からは慎重に加圧していきます。


20気圧に到達しました、さすが新品風防!まだ耐えています。


その時がやってきました。
25気圧に到達する手前でバキーン~と音が鳴り、どうやら風防が割れた様です
メーターも戻ってしまいました。


中を確認します。


やはり風防が割れています。
壊れ方も最初の風防より酷い様子です。


さらに良く見ると何と巻き芯も折れてしまっています。


20気圧以上の圧力がかかった結果、風防破損と巻き真の破損が確認されましたが、異常はこれだけでは有りませんでした!!
ケースの水分を拭き取っていた時に気づいたのですが、裏ブタに異常が!!!


写真を良くみて下さい
裏ブタがシーホースを中心に沈み込んでいるような・・



他のスピードマスター・プロフェッショナルと並べてみると明らかに違います。
凄まじい圧力がかかり裏ブタより素材の弱い風防から壊れてしまったようです。
ムーブメントを入れていたら大変な事態になっていたでしょう!!


今回の検証の結果スピードマスター・プロフェッショナルの防水機能の限界は風防が新品の状態で20気圧前後だということが判明、
カタログスペックより約4倍です!!
また、裏蓋中心部の厚さは0.5mmほどになりますが、20気圧以上の圧力で変形をしてしまう事にも大変驚きました。
今回の実験であらためてスピードマスター・プロフェッショナルの強靭さが確認できました。

アンティークウォッチ・時計修理のダイワ時計店

SAMPLE SHOP